スペシャルティコーヒーをもっと自由に。HOOPが生豆販売に踏み出した背景

スペシャルティコーヒーをもっと自由に。HOOPが生豆販売に踏み出した背景

HOOPオーナー・小川がスペシャルティコーヒーの世界に惹かれたきっかけは、2014年に訪れたサンフランシスコで出会った浅煎りの一杯でした。そこから「世界の良質な豆を届けたい」という思いを軸に、HOOPはスペシャルティコーヒーの魅力を伝える取り組みを続けてきました。

「いつ・どこで・だれと」を大切にしてきたHOOPが、その姿勢をさらに広げる形として、生豆販売をスタートします。

ホームローストという文化の広がり

ーーさまざまな家庭用焙煎機が登場していますが、HOOPではホームローストの広がりをどう捉えていますか?また、その中でどんなサポートや発信を担っていきたいですか?

僕自身、ホームローストが広がっているのはすごく面白いと思っています。きっかけは人それぞれですが、結局「自分が美味しいと思えるコーヒー」を飲みたいじゃないですか。そういう気持ちの延長線上に「家で焙煎してみようかな」があるんだろうなと感じています。

コーヒー豆を焼くのも料理のひとつだと思っていて。日常的にコーヒーが好きすぎて、1日に3杯も4杯も飲む人ってけっこう多いんですよね。そうなると、自分で豆を買って自分で淹れるのは自然な流れで、外で1杯700円800円のコーヒーを飲むより自分でやってみよう、って発想も生まれる。結果として、そういう人が増えてる実感があります。

実際、HOOPで焙煎(シェアロースター)を経験した方の中には、そのままカフェを始めた方もいます。ネットの情報や機材の選択肢も増えて、ホームローストという文化自体が確実に広がってきています。
僕としては、「やってみたい」と思った人がすぐに一歩踏み出せるようなきっかけづくりや発信を続けていきたいと思っています。技術の話だけじゃなくて、コーヒーを通して日常を少し豊かにするきっかけになればいいなと思います。

あなたにとっての”美味しい"と出会うために。HOOPが生豆販売を始める理由

ーー生豆販売を始めた背景には、どのような考えがあったのでしょうか?

シンプルに、コーヒーが好きな人は本当に多いですよね。美味しいコーヒーを飲みたいという気持ちは誰にでもありますが、その「美味しい」の基準は人それぞれです。スターバックスが好きな人もいれば、高級ホテルで飲むコーヒーを楽しみたい人もいる。コンビニのコーヒーで十分という人だっている。

そんな多様な楽しみ方の中で、最近は「自分で淹れる」という人が確実に増えています。自分で淹れるようになると自然と「どうすればもっと美味しくなるか」と考えるようになって、焙煎にも興味を持つ人が増えてきました。自分で豆を焼いて、自分の好みに仕上げたいという層です。

たとえば、エチオピアやケニア、グアテマラなど、産地を選んで、豆の個性を味わいたいと思う人たち。そうした人に向けて、生豆を100g単位といった小ロットで販売しようと考えました。

HOOPの焙煎機では一度に5kgほど焼けますが、家庭でそのサイズの焙煎機を扱うのは現実的ではありません。家庭用ロースターの多くは100gから多くても500gが主流です。だからこそ、少量からかつ色んな種類の豆を手軽に試せるようにしたいと思いました。

自分で焙煎を楽しむ人が増えている今、そのニーズに応えるサービスを提供したいと考えています。

“どんどん多様的に広がるコーヒー文化”をつくるために。生豆を売る意味

ーーロースタリーカフェでは焙煎豆の販売が一般的な中で、生豆も販売する意味はどこにあるのでしょうか?

コーヒー文化は常に進化してきました。僕はコーヒーの楽しみ方の幅がどんどん広がってきていて、そこには明確な形や正解はないと思っています。

たとえば、生産者が時間と労力をかけて作り上げた最高品質の豆を、アナエロビックやインフューズドのような特別なプロセスで仕上げ、それを世界一のバリスタが淹れる。そんな至高の1杯を求める人もいるでしょう。

一方で、家庭での抽出や焙煎など、自分なりのこだわりを追求するプロセスに最高の1杯を見出すことが楽しくて仕方がないという方もいます。

つまり、コーヒーの楽しみ方が多様化してきているんです。

「あなたにとっての美味しいコーヒーとは?」という問いに対して、ただコーヒーを飲むということから美味しいと感じるコーヒーとの出会いを求めるようになってきていると思います。だからこそ、生豆を販売することには意味がある。焙煎済みの豆を買うだけでなく、自分で豆を焼き、香りや味を探求する。そのプロセス自体が、次のコーヒー文化につながると思っています。

HOOPが生豆販売を始めたのは、「美味しいコーヒー」をもっと身近にしたいからです。焙煎にも抽出にも正解がありません。どんな一杯を「美味しい」と感じるかは、人の数だけ違う。

豆を選び、自分で焼いて味わうという体験が、コーヒーを自由に楽しむ文化を育てていくと考えています。